こんな
インド人は
イヤだ!!


 第一幕
 第二幕
 第三幕
 第四幕
 第五幕
 第六幕
 第七幕
 第八幕
 第九幕
 第十幕
 第十一幕
 第十二幕
 第十三幕
 第十四幕
 第十五幕
 第十六幕
 第十七幕

 

 

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Traveling to India


第十幕
こんなインド人に注意!


 ガヤの次にミネたちがたどり着いたのはヴァラナシ。ガンジス河のほとりに位置するヒンドゥー教の聖地である。ガンジス河は東インドの農業に大きな恵をもたらしてきた大河であり、これによりインド土着の宗教であるヒンドゥー教で聖なる河と位置付けられるようになった。ガンジス河のほとりに日の出近くに集まり、この河の水に浸かって「沐浴」をしているインド人の姿をテレビや写真で見たことのある方もいらっしゃるかもしれない。ガンジスは聖なる河である一方、工業排水は垂れ流し、洗濯をする者や用を足すものもいる。聖なる河を何故汚すのだ、とツッコミたいところではあるが、その汚い、ともすると危険な水で沐浴をしているところを見ると、インド人はガンジスを本当に聖なる河として信仰しているようだ。そして、インド全国の敬虔なヒンドゥー教徒は死ぬまでに一度はガンジスで沐浴したい、または死んで火葬された後はぜひガンジスに散骨をしてほしい、と考えるらしい。
 ガンジス河沿いの数ある都市の中でも特にヴァラナシが聖地、観光地となっている理由にはこのことが大きく関係している。ヴァラナシには多数の火葬場があるからである。敬虔な(そしてそのなかでもごく一部の金持ちな)ヒンドゥー教徒は亡くなると、わざわざヴァラナシまで遺体が運ばれ、この町の河沿いに点在する火葬場の一つで家族に見守られながら火葬にされる。火葬が終わると家族は形見として男なら胸骨、女なら骨盤だけを持ち帰り、残りはガンジスに散骨される。ヒンドゥー教にも輪廻転生に似た思想があるらしく、ガンジスからまた輪廻に入ると信じられていることから、ヒンドゥー教徒はみな憧れる。
 ヴァラナシに着いたミネたちはとりあえず火葬場の見学を考えた。火葬場は外国人旅行者も見学することができる。また、火葬場は河沿いに並んでいくつも建っているので、ボートに乗って河の方から見るのが一般的である。ガンジス河のほとりの沐浴場の近くには、観光者目当てのボートの漕ぎ手がたむろしている。インドでの値段交渉にも慣れてきたミネたちは、ガイドブックでしっかりと相場を確かめてからボート乗り場へ向かった。一人10〜20ルピーで乗れるらしい。

 印「(ハロー、日本人!ボート乗らない?)」
 ミ「(いくら?)」
 印「(一人200ルピーだ。)」
 ミ「(はぁ?高すぎるだろ!別のを探すからあっち行け!)」
 印「(そんなことない。今インドは雨季だ。見ろ。水かさが増えて流れも急だ。
    漕ぐのも大変なんだよ。一人200だ。乗れ。)」
 ミ「(バカ言ってんじゃないよ。他のを探す。あっち行け。)」

 ミネたちは足早にその場を立ち去ろうとした。ボッタクろうとしている奴はここで絶対追っかけてくる。こいつが言ったようにインドは今雨季。つまり観光のオフ・シーズン。客が少なくてあいつらも困っているのだ。

 印「(オーケー、分かった。一人150ルピーだ。乗れ。)」
 ミ「(はぁ?何がオーケーだ、ふざけるな!もういい、あっち行け!)」
 印「(これ以上は譲れない。見ろ。流れが急ですごくきついんだよ。)」
 ミ「(これ以上は譲れないのか。なるほど、じゃお前のには乗らん。)」
 印「(オーケー。100だ。乗れ。)」
 ミ「(はぁ?もういいから消えてくれ。・・・)」



 五分後、結局25ルピーまで値切った。

 こういう値段交渉は日本人は特に慣れないので疲れるが、相場さえ知っておけば大きな失敗をすることは無い。本当はもう少し値切れるはずだったが、川の流れが急で大変だとうるさいので、その分はくれてやった。少し不満そうなボート漕ぎを横目にボートへ乗り込んだ。
 ボートはガンジス河へ漕ぎ出す。向かうはここから下流に行った、最大の火葬場・・・

 ちょっと待てよ。


 こいつら全然漕いでないじゃねぇか!
 流れに乗って下流に行ってるだけじゃねぇか!



 思えば、値段交渉の最中はどのようなルートで行くのかは全く説明しなかった。してやられた。値切りには成功したから、まぁよかった方か。
 ボート値段交渉・・・1勝1敗で終了。
 
 


第十一幕
こんなインド人ババアに注意!


 ヴァラナシの町は、細い道がまるで迷路のように入り組んだつくりになっている。その細い道を牛ややぎがふさいだりしている。われわれ旅行者はその光景に戸惑うところだが、インド人はその脇をバイクに乗って猛スピードで駆け抜けていく。そんな町である。
 ミネたちの泊まった宿も、そんな迷路のような町の一角であった。入ると二階までの吹き抜けがある。一階にはロビーがあり、二階が客室。そのロビーにはいつも、一人のおばあちゃんが座っている。宿の経営はすでに息子に任せているが、宿泊客にインドの家庭料理を振舞ったりする。宿に帰ってくるといつでも座っていてよく顔を合わせるので、客にとってはこの宿の象徴みたいな存在である。この一目見るといいおばあちゃんに見える彼女が、この第十一幕の主人公である。
 このヴァラナシには三日間滞在する予定だったので、快適に泊まりかった。ということで少し高いがエアコンがついている部屋を取ろうと考えた。しかし、この宿にはエアコンつきの部屋は一部屋しかなかった。一部屋に泊まれるのは四人。チェックインの際、全員でエアコンの部屋に泊まりたいと頼み込んだが、それは無理だった。それはそうだ、向こうだってたくさん部屋を取ってもらって、ガッポリ稼ぎたいに決まっている。まぁこれは仕方ない、ミネたち四人はエアコンつきの部屋ともう一部屋エアコンなしの部屋を取って、エアコンの部屋には交代で寝ることにした。エアコンなし一泊200ルピー、エアコンつき600ルピーで、四人で割れば一泊200ルピーになる。これで三泊することを契約して、二階の部屋に上がった。
 列車でヴァラナシに着いたのは夜十時くらいだった。本当は七時くらいに着きゆっくりと宿を選ぶはずだったが、これも「神の操る交通機関」、インドの列車のせいである。四人はとても疲れていたのでエアコンつきの部屋に集まり、旅の疲れを癒していた。しかし案の定その快適さにゆっくりとまどろみ始め、いつしか四人は眠りについていた。
 次の朝、町に出ようと一階に降りるとおばあちゃんが座っていた。ミネたちは軽く挨拶をした。

 ミ「(おはようございます。)」
 婆「(おはよう。ところであなたたち、昨日四人で一部屋に泊まったわね?)」
 ミ「(はぁ、確かに。エアコン部屋の方が快適だったもんで。)」
 婆「(それじゃ、一泊1000ルピーもらうわね。)」



 ?
 意味が分からない。契約では全員で800と言ったではないか。

 ミ「(どういうことですか?詳しく説明して下さい。)」
 婆「(あの部屋は一泊600ルピーでしょ?だからあの部屋は一人一泊300ルピー。それを一人250にまけてあげるんだから、安いと思いなさい。)」
 ミ「(そんな!二部屋取れば四人泊めると言ったじゃないですか?それに800ルピーだと最初に言ったじゃないですか?代金もしっかり払いますよ。どうしてそんなことを言うんですか?あなたは友達の部屋に行くのはダメだと言うのですか?)」
 婆「(250にまけてあげると言ってるの。あなたは得をしているの。よく考えなさい。これは私の問題じゃない。あなたの問題よ。)」

 よく言うわ、このババア!最初の契約を一方的に反故にしようとしているのはそっちじゃねぇか!その上自分は何も悪くない振りで「あなたの問題」だと?人をナメるにも程があるわ!
 ミネたちは話し合い、どうするか結論を出した。

 ミ「(なるほど、約束を破るわけですね?それにこれは私たちの問題であると言いますか?分かりました、1000払います。そして、チェックアウトでお願いします。)」

 三日泊まるつもりだったが、こんな宿とはお別れすることにした。ミネたちは二階へ逆戻りし、荷物をまとめ始めた。まったく、とんだ金の亡者がいたものだ。このババアの息子であるオーナーは最初の契約のときになかなか好感の持てる人物だったが、こんなわけの分からない守銭奴のいるところはもうたくさんだ!
 荷物があらかた片付いてそろそろ出ようかという時に、ミネたちの部屋にボーイが入ってきた。あのババアは足腰が弱っていて、二階までは上がってこないのだ。

 ボ「(800でいいから、泊まってくださいと言っています。)」


 どっちやねん!
 なめとんか、ババア!



 息子が800ルピーで契約したが、何かと理由をつけてもう少し取れないかと1000ルピーふっかけた。しかしミネたちが激怒して出て行くといった。そうなると儲けは予定の半分になってしまって困るので、慌てて引き止めた。こんな感じだろう。
 インドにきて最高にムカついたのはこの時である。結局オーナーに免じて三日泊まったが、あのババアの顔だけは今でも忘れていない。

 


第十二幕
こんなインド人にならないよう注意!


 ヴァラナシ滞在中にインドのお祭りの日があった。ヒンドゥー教の女神、シヴァの誕生日である。シヴァは多神教であるヒンドゥー教の神々の中でも人気のある女神、それにここはそのヒンドゥー教の聖地ヴァラナシである。町は大盛り上がりであった。日ごろは食べ物や生活用品を売っている露店も、この日はキラキラ輝く部屋飾りなどを置いていて、道行く人もいつもより多かったように思う。ガンジス河の沐浴場ではヒンドゥーの神官たちが河に向かってお祈りを捧げるという誕生祭も開かれ、インド人と外国人観光客でごった返した。町中が沸きかえったこの日、こんな日は良からぬヤツも当然多いわけで・・・。
 ミネたちも誕生祭を楽しみに会場まで行った。お祭りは夜の七時から。お香の匂いでいっぱいの中、神官たちはガンジスに向かって横一列に並び、夜闇に赤々と燃えるたいまつの中、ベルのようなものをリンリンと鳴らしながら祈りを捧げていた。神秘的な光景であった。そんなインドの文化に見入っていると、後ろからインド人が近づいてくる。

印「(どうだい?インドのお祭り、楽しんでいるかい?)」

どうしてインド人はこんなに馴れ馴れしいのか。まぁ、もう慣れたけど。

ミ「(ああ。楽しんでるよ。)」
印「(お祭りはそろそろ終わる。この後はどうするんだい?)」

 別に答える必要もないんだが。まぁ暇だし、おちょくってみよう。

ミ「(別に予定はない。宿に帰るだけだ。)」
印「(それじゃ俺の土産物屋に寄ってくれよ。あんた、日本人だろ?ツルタマヨも来たことあるよ。)」
ミ「(?・・・鶴田真由ね?へぇ、すごいね。ところであんたのトコは政府の承認は得てるのかい?)」

 ヴァラナシは大きな観光地であるので、優良な土産物屋だけに政府が証明書を発行するという制度がある。これを持たないのはいわゆるヤミ経営の店で、ボラれることも多いとの話である。

印「(もちろんさ。だからツルタマヨも来たよ。)」
ミ「(だから、マユだって・・・まぁいいや。じゃ証明書見せてくれよ。)」
印「(今日は忘れちゃったよ。店に来たら見せてやる。)」

 ああ・・・そんな見え見えの嘘を・・・。本当に証明書持ってるなら、客引きにこんなに便利なもの、忘れるわけないじゃないか。

ミ「(それなら行かないよ。バイバイ。)」
印「(待ってくれよ。それならこれ買ってくれよ。)」

 どうしても外国人旅行客からもうけたいインド人が出してきたのは小瓶、中には朱色の粉が入っている。ヒンドゥー教徒が眉間に塗るあれである。

ミ「(いや、いいよ。それじゃぁな。)」
印「(せっかくのヒンドゥーのお祭りだよ。買っていけよ、100ルピーでいい。)」

 さっきまで嘘ついて店に呼ぼうとしていたヤツだ。信用ならん。

ミ「(買わないよ。絶対に。)」
印「(それじゃ50ルピーだ。買ってくれ。)」
ミ「(だからいらないって。)」
印「(20!持ってけ。)」
ミ「(うるさい。あっち行け。)」
印「(あなたみたいなヤツも初めてだ。でも気に入った。あなたと会えた記念だ。これはプレゼントする。受け取ってくれ。)」



ミ「(・・・マジで!?)」

 貧乏学生症がつい出てしまった。タダと言われるのに学生は弱い。

ミ「(ありがたくいただいておくよ。それじゃね、バイバイ!)」
印「(ねぇ、お返しに何かくれよ。お互いに会えた記念でプレゼント交換だ。俺、あなたの持ってるそのタオルが欲しいな。)」
ミ「(このタオル?ああ、これは今後の旅行に必要だから無理だな。)」
印「(そうか・・・。俺のサンダル、もうボロボロなんだ。新しいの買ってくれよ。)」
ミ「(はぁ?いくらくらいするんだよ!)」
印「(500ルピーくらい。)」
ミ「(高!そんなに高いもの誰が買うか!)」
印「(そんなぁ・・・。じゃ、俺のシャツ・・・)」


 五分後。

印「(じゃ、俺の店にきてくれよ。)」


 結局それかい!


 しつこくしくこく、ひたすら買ってくれ買ってくれというヤツはいっぱいいます。でも時には先に恩を売っておくというこんなヤツもいます。
 タダより高いものは無し。まぁ最後には、タダでいい土産をもらったわけであるが。
 

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