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2003年9月〜11月



9/2
作者は今年の夏、インドに行ってきました。


 「もしもし、お母さんだけど。元気にしてるの?」
 「おお、なんだ。母さんか。」
 「何だじゃないでしょ。あなた明日からインド行くんでしょ?」
 「ああ、そうだよ。明日の十一時のフライト。」
 「そうでしょ?それじゃ一緒に行く人の連絡先でも伝えてから行くのが筋でしょ?」
 「え?そんなもの知ってどうするのさ?」
 「だってあなたと連絡とれなくなるでしょ?
  もしもの時はその友達に連絡をとるのよ!」
 「いや、だからね、そいつも一緒に行くから連絡とれるわけないじゃんか。」
 「どうしてそんなわからないこと言うの?
  あなた昔はそんなじゃなかったのに・・・。


  まぁいいわ。それとね、道中気をつけるのよ。
  この前インドでテロがあったでしょ?」
 「え?インドでテロなんてあったっけ?」
 「だってテレビのニュースでやってるでしょ?ジャカルタで爆弾テロがあったってよ!」
 「いや、だからね、ジャカルタはインドじゃなくてインドネシアの首都だよ。」
 「どうしてそんなにお母さんの優しさをないがしろにするの?
  あなた昔は女の子に間違えられるくらいかわいかったのに・・・。


  まぁいいわ。それとね、病気にも気をつけるのよ。
  マラリアとか多いらしいじゃない?」
 「ああ、そうだよ。でも大丈夫。マラリアはね、蚊に刺されると伝染するんだ。
  蚊取り線香たくさん持って行くから絶対に大丈夫。」
 「そうなの、蚊でうつるなんて知らなかったわ。
  じゃあね、マラリア対策に『ムヒ』も持っていきなさいよ!」
 「いや、だからね・・・。」

   


9/9
ALL WE HEAR IS...


 夏が始まる前は「夏が最大のヤマだ!」なんて言ってたくせに
 九月になった途端「さぁ、ここからが一番の追い込みだ!」なんて
 ホントに予備校の講師だの担任だのはムシがよすぎる。
 今、二時二十五分。
 ラジオを聞きながら勉強をしている。


 浪人生活が始まって、もう半年になる。
 予備校生同士でつるむ気は毛頭なかったので、
 朝遅く起きて予備校へ行き、誰とも話すことなく寮へ帰る日々だった。
 そんな俺にはラジオだけが唯一の外界との接触であった。
 半年前は不合格のショックに打ちひしがれ、塞ぎこんでいた俺だが、
 深夜放送を聞きながらの勉強を習慣とする事で生活のリズムを取り戻し、
 ラジオの話に一人でバカ笑いをしたり、流れてくる曲を聴くことで、
 心の傷も少しずつ癒えていった。
 もしこのまま俺が頑張ってあの大学に合格できたら、
 真っ先にラジオにお礼を言わなくちゃいけないな。


 今夜は電波の入りが悪い。
 土地柄ハングル語の放送が邪魔をしてくることはあるのだが、
 それにしても今夜はその妨害がひどい。
 ちゃんと周波数はあっているはず・・・?
 なんだこれ?
 ハングル語じゃないぞ?




「・・・受験生のみなさん、勉強ははかどっていますか?私はラジオです。いつも私を聞きながら頑張るあなたのために、私も少しでもお役に立ちたい・・・」


 「なんじゃこりゃ?」と思っている間に放送が切り替わった。
 授業・・・?そう、まるで予備校の授業のような放送だ。
 しかもそれは聞いたことのないような分かり易い話。
 目からうろこが落ちっぱなしだ。
 こんな放送があったなんて!なんという幸運!
 と、思いかけたところでふと我に帰った。
 俺がラジオに求めるのはこんなことじゃない。


 気が付くといつもと同じ放送が流れている。
 今、三時十五分。
 オールナイトニッポン、終わっちゃったな。 

   


9/16
Endless Dream


 「ふぁー、なんか眠いなぁ。」
 「そりゃそうさ。お前最近頑張りすぎだ。」
 「はぁー、休みたいなぁ。
 はぁ、こんなに眠たい日々が夢だったらいいのに・・・。」





 「んんー、よく寝た。でも、なんか寝足りないな。」
 「そりゃそうさ。お前最近頑張りすぎだ・・・



9/23
まる、さんかく、しかく


 「・・・それでは、イラク人正解率13%の問題です。
  『大統領が身を隠しているのは一体どこでしょう?』」
 「これは迷いますねぇ・・・。でも多分ねぇ、みんな知らないと思いますよ。
  誰にしましょうかねぇ・・・。よし!決めました!


  ペンタゴンさんにヘキサゴン!」


 「この選択の決め手は?」
 「やっぱりねぇ、爆弾ボコボコ落としまくったのが逆に怪しいですね。
  分からないんだけど間を置くと信用されなくなるからやっちゃえ、みたいな。」
 「それではペンタゴンさんの解答、オープン!」


 (以下、検閲削除)
   


9/30
旅立ちの朝


 ついに最果ての村に着いた。
 長い苦しい旅ももうすぐ終わりだ。


 「勇者様、この村の外れの洞窟に伝説の剣が封印されています。」
 「そうか。いよいよここまで来たか。」
 「どうか封印を解き、その剣で魔王を倒してください。」
 「あ、ああ・・・。」


 俺がこの旅に出たのは三年前。




 「・・・つづいて、しし座です。
 ラブ運、仕事運、共にどん底のとき。辛いけどちょっと辛抱して。
 ラッキーアイテムは伝説の剣です・・・。」





 旅立ちの理由は、とてもじゃないけど言えない。
   


10/7
いろいろな敬遠


 「今日はあいつに打たれてるもんなぁ。」
 「ああ。それに一塁は空いてるし。」
 「ここは敬遠で満塁策だな。」




 「世界のホームラン王の監督の目の前で打たれるのはなぁ。」
 「ああ。それにランナーはいないし。」
 「ここは敬遠で記録更新阻止だな。」




 「全然勉強してないんだよなぁ。」
 「でも一週間後追試あるぜ。」
 「ここは敬遠で来週に進級を賭けよう。」




 「俺の隣りに座ってる子、かわいいけどなぁ。」
 「でもみんな狙ってるよ。」
 「一番人気は敬遠してとにかく持ち帰りを狙おうか。」




 「不景気対策は敬遠して構造改革に邁進します!」

 「そんなあなたの政策を敬遠して人気には乗っかります!」

 「われわれ有権者は投票を敬遠します!」


 


10/14
旅立ちの理由


 ついに最果ての村に着いた。
 長く苦しい旅ももうすぐ終わりだ。


 「勇者様、この村の外れの神殿に魔法の宝玉が眠っています。」
 「そうか。いよいよここまで来たか。」
 「どうか、その力で魔王を封印してください。」
 「・・・明日にでも神殿に赴こう。」


 俺がこの旅に出たのは一年前。




「畜生ッ!」
「どうしたんだ?焦るんじゃないよ。
 自分の力が出ずにイライラするのも分かるが。」
「違うんだ。感触はかなり戻ってきた。でも・・・
 くそ!俺に最適の武器さえあれば・・・」
「武器?」
「・・・そうだ。」
「用具か?」
「そうだ。16ポンドじゃ重すぎて、15ポンドじゃ軽すぎるんだ。」
「・・・いい情報をやろう。ただし、相当の覚悟が要るぞ。」





 やっとここまで辿り着いた。
 最終投球をストライクで飾り、
 フラッシュの中トロフィーを掲げる俺が目に浮かぶようだ。
      


10/14
都合のいい女


「もういいわよっ!どうせ私のことなんか都合のいい女としか思ってないんでしょ!」
「うるさいなぁ!落ち着いてくれよ。そんなことないからさ。」
「嘘よ!エッチできればそれでいいんでしょ?あぁ、合鍵なんて渡すんじゃなかったわ!」
「違うよ。お前のこと本当に愛してるよ。」
「そんなの口から出任せよ!昔はあなた、やさしかったわ。でも最近は愛なんてこれっぽっちも感じないわよ!もういい!別れる!」
「なんで信じてくれないんだよ!俺のどこが不満なんだよ?」
「・・・昨日、何で迎えに来てくれなかったのよ?」
「しょうがないだろ?仕事だったんだから。」
「だって、前はそんなこと言わなかったじゃない?友達との待ち合わせに遅れてすごく怒られたんだから!」
「・・・悪かったよ。おまえがそんな目に会うなんて思いもしなかった。」
「私はあなたの車が大好きなの!それさえあれば何の見返りもいらないわ!こんな私の純粋な気持ちを踏みにじるなんて、ひどい仕打ちよ!」
「おまえ・・・そんなに俺のことを・・・。ごめん、俺がバカだった。許してくれ。」
「今日だってそうよ!私が帰ってくる前にご飯作っておいて、って言ったのに・・・」
「え!?俺、ちゃんと希望通りオムライス作ったじゃないか?」
「卵が半熟じゃなかったじゃないの!」
「そ、そんな・・・気付かなかったよ!すまん、本当にすまん!」
「私はあなたのご飯が大好きなの!それさえあれば何の見返りもいらないわ!あなたのこと信用して、合鍵まで渡してるのに・・・こんな私の純粋な気持ちをないがしろにするなんて、ひどい男だわ!」
「おまえ・・・そんなに俺のことを・・・。ごめん、俺がバカだった。俺は、俺は・・・」
「・・・分かってくれればいいのよ。」
「俺、おまえのこと全然考えてなかった。俺は本当にダメな男だ。・・・なぁ、別れようか?」
「えっ!?」
「・・・俺は本当にだめな男だ。全く君のためになってあげられなかった。おまえの言うとおり、君の純粋な気持ちに報いることができなかった。おまえは俺なんかといるより、別のもっといい男と一緒になったほうがもっと幸せになれる。俺はおまえが大好きだ。愛してる。だからこそ、おまえには幸せでいて欲しいんだ。・・・別れよう。」
「・・・どうしてそんなことを言うの!?別れるなんて簡単に言わないで!私にはあなたしかいないのよ!お願い!私を一人にしないで!こんなに、こんなに辛いときに、私を一人にしないで!」
「!?・・・『辛いとき』って、何だ?いったいどうしたんだ?」
「ああ、ごめんなさい。まだあなたにはいってなかったわね。・・・今日実家から電話があって・・・お母さんが・・・倒れたって。」
「え!?そんなことが・・・」
「・・・台所で急に倒れて病院に担ぎ込まれたみたい・・・心臓破裂で、このままだと余命三ヶ月だって・・・」
「心臓破裂だなんて・・・でもよかった。生きているのが奇跡的だ。」
「・・・移植手術が必要だって・・・。」
「移植か・・・大変なことになったな。ドナーも見つかるかどうか・・・」
「ドナーは見つかったらしいわ。」
「早いな!奇跡的な早さだ!よかったじゃないか!」
「・・・でも手術のためのお金が・・・。」
「そうか・・・そういえば先週もおじいさんが交通事故に遭って・・・。」
「そう。脳死状態になっちゃったの。」
「その手術は成功したのか?」
「大成功だったわ。もう歩けるくらいに回復したみたい。あなたが足りないお金を援助してくれたおかげよ。・・・ありがとう。」
「ありがとうなんてとんでもない。おじいさん治ってよかったね。・・・でもそのおかげで今回の手術資金も出せないのか。」
「・・・そうなの・・・。」
「・・・わかった。俺が何とかする。今度はいくら必要なんだ?」
「・・・二十万。」
「安っ!心臓移植で二十万なんて・・・でも俺が何とかできる額でよかった。・・・分かった。何とかする。待っててくれ。俺がおまえのこと、単なる都合のいい女だなんて思ってないことを証明してやる!」
     


10/21
22歳、居酒屋店員、バイト歴5ヶ月の場合


「お客様?
 大丈夫ですか、お客様?

お客様、そろそろ閉店の時間となっております。
大丈夫ですか?立てますか、お客様?
お手洗いに行きますか?吐かなくてもよろしいですか?
・・・結構ですか。分かりました、お客様。

それにしても飲みすぎでございます、お客様。
ボトルキープというものは次回来店されたときに
一時の優越感に浸るための制度であります。
それなのに何故その日に飲み切ってしまうのですか、お客様。
当店には空瓶をキープする余裕はございません、お客様。

ちょっと話を聞いてください、お客様!
・・・お客様?何をされているんですか?
・・・割り箸を割って?
・・・別の割り箸を割って?
・・・もう一本割って・・・って、お止め下さい!

いくら酔っ払っても地球には優しくしてください、お客様。
冷蔵庫捨てるのにもお金がかかる時代ですよ、お客様。
お客様、お気を確かにお願いいたします。
世の中にはやりたくてもやってはいけない事と、
食べたくても食べられない子供たちがおります、お客様。
ユニセフ親善大使の黒柳徹子に、部屋に誘われてしまいますよ!

でもお客様の気持ち、分かるような気もいたします。
お一人で来店されて、なんだか分からないその飲みっぷり。
察するに、何か嬉しいことがあったのですね?
それで羽目を外してしまわれたのですね、お客様?
景気回復の兆しが見えたことですか?
日本シリーズの開幕ですか?
それとも、ヤワラちゃんと谷選手の順調な交際ですか?
・・・あっ、それに対しては目をつぶる方向ですか?
これは大変失礼をいたしました、お客様。

それにしてもだいぶ意識が戻られましたね、お客様。
・・・お客様?何をされているんですか?
・・・タバコを取って?
・・・鼻に詰めて?
・・・火をつけると・・・大丈夫ですかっ!?

お客様、それはムセるに決まっております。
鼻粘膜の機能にも限界がございます、お客様。
お客様、どうかご自愛ください。
世の中にはやりたくてもやってはいけない事と、
捨てたくても捨てられない書きかけのラブ・レターがあります。
甘酸っぱい想い出が引き出しを占領するんです、お客様!

お客様、お水でも飲んで落ち着いてください。
たらふく飲んだ後で液体はウンザリかもしれませんがお飲み下さい。
お客様のためを思ってのことでございます。
もう一つ、お客様のための無駄知識を披露するのでお聞き下さい。
・・・そうです。金の脳狙ってます。
今お客様の体をむしばんでいるのはアルコールではなく、
それが一次的に分解されたアルデヒドなのでございます、お客様。
これにはお気をつけ下さい、お客様。
死に至ることもあるでぇ、ヒドいときには・・・、お客様!?
ああ、お客様の意識が!
不慣れな関西弁まで使ったのにぃ!

お客様!
大丈夫ですか、お客様!・・・」
 
 


10/28
研修医タカ子


 一人の新米研修医とその教育係であるベテラン医師の一日。

「先生、今朝来院した患者さんなんですけど・・・」
「どうかしたのかね?タカ子センセ。」
「一通りの検査はしたのですが、イマイチよく分からなくて・・・」
「患者さんは女性だったね?」
「はい。二十五歳の女性です。」
「妊娠検査はしてみたかね?」
「はい?」
「今まで何を勉強してきたんだい?年頃の女性の原因不明の体調不良はまず妊娠を疑え、と前にも言った覚えがあるが?」
「はい、すみません!」


「先生、ついさっき来院した患者さんなんですけど・・・」
「今度は何だい?タカ子センセ。」
「ここ最近、高熱が出たり急に下がったりしているらしいです。あと、悪寒も。」
「患者さんの海外渡航歴は聞いたかい?」
「はい?」
「センセは何を勉強してきたんだい?第一にマラリア感染を疑うべき病態ではないか!そんなことでは患者さんの命に関わるぞ!」
「はい、すみません!」


「先生、先ほど来院した若い男性なんですけど・・・」
「また分からないのかい?タカ子センセ。」
「激しい下痢と腹痛があるらしいんですが、心当たりがないらしくて・・・」
「患者さんはダイエーファンか聞いたかい?」
「はい?」
「君は何を勉強してきたんだい?この時期の下痢は那珂川への飛込みによる大腸菌感染を疑えと言っただろう?」
「はい、すみません!」
「つい最近、道頓堀でも同じような症例が出ただろう?もっと勉強しなさい・・・。」


祝・ホークス日本一!



10/31
フォーエヴァー・ラヴ


 「・・・いやだから、やるって言ってるじゃないですかぁ。あなたのためを思って私もきちんと頑張りますからぁ。ね?ね?もう一度よ〜く考えてみてください。ね?
 ・・・いやだから、なんでそんなこと言うんですかぁ?やるって言ってるじゃないですかぁ。信じてくださいよぉ。ね?
 ・・・嘘?もしかして私が嘘をついてると思ってるんですか?冗談じゃないですよぉ。私ははっきりやるって言ってるじゃないですかぁ。私が本気でやれば簡単なことなんですからぁ。ねぇ〜、信じてくださいよぉ。
 ・・・だからやれますってばぁ〜。ホントに分からない人だなぁ。いいですか?私はこんなに、こぉんなに分かりやすくあなたに説明している。さっきも言いましたが、簡単なことなんです。私がやると言ったらできるんです。こんなに単純な論理を、あなたは理解できない、いや理解しようともしない。どういうことなんですか?
 ・・・いやね、確かに私だけでやるわけではないですよ。みんなで力を合わせなければできません。でもよ〜く考えてください。私はリーダーです。みんなから選ばれたリーダーです。私の決めることにみんなが反対するわけないじゃないですか?あなたが一言イエスと言って、一票入れてくれればいいんです。
 ・・・だからね、確かに後で話し合いはしますけど、そこで手のひら返してやらない、なんてことはありませんから。私がリーダーだからみんな賛成するに決まってるんです。も〜、いいかげんハイと言って下さいよぉ。ちゃんとやりますからぁ〜、郵政事業民営化。」

ミネ訳
自○民○党マニフェスト

   

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それより僕と、






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